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『Crash lovers』完結

『Crash lovers』6-7

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『Crash lovers』6-7


「う~…」
目が覚めると私は知らない部屋のベッドにいた
お兄ちゃんとは別の部屋か…
「鍵は…閉まってるよね……」
試さなくてもそうわかってたケド、やっぱりドアは外側から鍵がかかってる
窓のない部屋だから窓から抜け出すコトもできないわ
携帯も没収されたし…
でも冷静に考えて、お風呂やトイレは部屋についてるからそれを口実に外へは出れないケド
私を監禁するなら食事とかで誰かがこの部屋に来るハズ
その時がチャンス…絶対に逃すワケにはいかない
先輩に会わなくちゃ…和彦に殺される前に、早く1分でも1秒でも…祈るコトしかできないなんて
とりあえず部屋の中にある物でドアをぶち壊そうとしてみたケド無理でした
「なんだー!?」
「ここまで来るなんて…!」
静かだったのに急に部屋の外が騒がしくなる
何々!?何があったの!?
私を監視してたと思われる奴らの断末魔だけが聞こえてくるって…恐いんですケド!!
私を閉じ込めたまま勝手に死なないでよね!!
このドア開けてから殺されなさいよバカ!!
私逃げれないじゃない!!
少しして外が静かになった…ってコトはみんな殺されちゃったんだ……
「はっ…ぅ……」
ヤバイ……次は私?
誰かが、たぶん外の奴らを皆殺しにした人が私のドアの鍵を開ける
あ~!私の刀もいつの間にか没収されてるよ!!
もうコレは大ピンチ!!
私はドアを開けられる前にベッドの下に隠れて息を潜めた
「………早く…どっか行って……」
そう祈りながらベッドの下から見えたのは大怪我をした左足を痛々しく引きずりながら誰かが部屋に入ってくる
うわぁ…あの痛くないんですか?
肉どころか骨まで見えてますよ
ココからじゃ足しか見えないケド、その怪我で外の奴ら皆殺しとかかなりの化け物じゃない
見つかったら1秒で殺されるわ私
「……隠れてるの…?セリカちゃん
俺だから出てきても大丈夫だよ…」
この声はイングヴェィ先輩…!
ウソ…先輩…ココまで私を助けに来てくれたんだ…?
「あっ痛ッ!」
先輩の声を聞いて私はベッドの下から出ようとしたら頭を打った
だって、早く会いたかったんだもん
よかった!生きててくれてよかった先輩!
「イングヴェィ先輩…私ココに……っ」
なんとかベッドから出た私が見た先輩の姿に声を失ってしまった
ベッドからは大怪我した足が見えたケド、今先輩の全身を見て…
右腕がない…刀か何かで切断されたような傷口
右目もない……頭から肩から背中から…色んな所に深い傷を負って血が滴ってる
コレだけの大怪我をして…これで生きてるってのがおかしいくらい重傷なのに……
「会えてよかった…」
「いやイングヴェィ先輩!大丈夫なんですかその怪我!?
早く病院に行かないと!!先輩死んじゃうよ!!」
和彦?やっぱり和彦だよね先輩をこんなにしたの…
でも先輩がココにいるってコトは和彦が負けたの?
この大怪我を見て先輩が死ぬかもしれないと思ったら涙が溢れちゃうよ
私は先輩を支えるようにして肩を持つ
「セリカちゃんを悲しませたりなんかしないよ
俺は死なない…君より先に死んだりなんかしないから…君のタメなら何があっても生きてみせる」
先輩は左腕で私を引き寄せて抱きしめてくれた
右腕はもうないから…両腕で抱きしめてもらえるコトはもうないケド
こうして先輩の心臓の音を聴いて生きてるって安心できたよ
「はい…」
私の前では弱音を吐かない
いつも私のお願いを叶えてくれる
無理してるんだと思うそういうの疲れると思う
なのに先輩はいつも頑張る
私のタメに…私のコトを愛してくれる
「ココから出ないと…アイツが来る……」
アイツって…和彦?死んでないのか!
「じゃあ早く逃げないと!イングヴェィ先輩殺されたくない!」
私達が部屋を出ようとした時だった
「それは無理な話だ」
まったく気配も感じさせない素早さで私を先輩から引き離す
和彦…!?私がそう思った次の瞬間に
「油断したな、これであんたも終わりか」
抵抗する隙も与えず一瞬で先輩の心臓を身の丈ほどある刀で一突きして息の根を止めた
「…………あっ……」
一瞬のコトすぎて私は頭が追いつかない、声も出ない
和彦が先輩の胸から刀を引き抜くとその血が私に降り注ぐ
「あの怪我で動き回れた事には驚きだが、さすがに心臓を貫かれたらもう動く事もねぇだろう
死体は後で片付けさせる
それまではそこで泣いてろ」
和彦は私にそう言って部屋から出て行った
何しに来たのアンタ…何しに……
和彦が出て行くと私の溢れていた涙がこぼれ落ちる
一瞬だけ止まってた感情も動き出してしまう
「そんなイングヴェィ先輩…が……死ぬなんて……」
倒れた先輩の背中に耳を当ててもさっきまで聴こえてた心臓の音がしない
完全に止まってしまってる
本当に死んじゃったんだ先輩……
「イヤだ…ヤダよ…イングヴェィ先輩が死ぬなんて…いなくなるなんて……イヤ……」
そんなの私生きていけない
コレから1人で毎日を過ごすなんて考えられない
「私を悲しませないって言ったクセに…」
先輩が悪いワケじゃないのに責めたような言葉が出てしまう
ワケわかんないよ私
「……約束だったね…」
「えっ…?」
「セリカちゃんを泣かせないって」
うっ…へ?涙で目が霞んでよく見えない
瞬きすると涙が落ちて少しずつ視界がハッキリする
心臓を貫かれて死んだハズの先輩が身体を起こして私を見てる
「これは…夢?幽霊?」
「夢でも幽霊でもないよ」
私の涙を指で拭ってくれる先輩の手はいつものように冷たくてリアルな感触
「生きてる!?」
ヤッタ!先輩は死んでなんかいなかったんだ!!
生き…
「ううん…」
「えっ…」
「俺は死んじゃったんだ…
さすがに心臓貫かれたら…生きてられないんだね
でも、このまま死ねないって思ったら…」
今の先輩は私への強い想いで奇跡的に動いてるらしい
そんなコトがあるの?って思うケド今実際に目の前にある…
「俺が死んだらセリカちゃんは他の奴のモノになっちゃうもん
とくに俺を殺した男…
でも…こうして動いてられるのも後少しだけなんだよね」
「イングヴェィ先輩以外の人のモノになんかなりたくないです…」
「俺も他の奴にセリカちゃんを渡したくないんだ
ずっと…一緒にいてくれるよね?」
死んでしまった先輩のその言葉の意味は聞かなくてもわかった
私も死ぬの、この世界で先輩とは幸せになれなかったケド
これからはずっと2人で一緒に永遠の幸せを
「…はい、もちろん
イングヴェィ先輩とならドコへでも一緒に」
私は今死ぬコトは悲しくない
先輩と一緒にいられるコトが例えどんな形であっても私の幸せ
お兄ちゃんにはもう会えなくなるケド、私が死んだら悲しませちゃうかもだケド
私はお兄ちゃんのタメに生きてるんじゃない
私は私のタメと、大好きな先輩のタメに生きて死ぬの
「セリカちゃん…ゴメンね……
死ぬなんて…一緒に死なせてしまうなんて……」
「ううん、イングヴェィ先輩が死んじゃったなら私もそうします」
「君のコト愛しすぎちゃって」
「それだけ愛してくれる人がいてくれて私は幸せです
私も死ぬほどイングヴェィ先輩を愛してますから」
先輩は私を強く抱きしめてくれた
この世界で最後の…
「じゃあ私も刀で心臓を…」
「そんな痛い死に方しなくていいよ!
いつかはこんな日が来るかもと思ってずっと持ってたものがあってね」
先輩はポケットから毒薬を取り出した
なんでも痛みも苦しみもなく眠るようにコロッと死ねる通販で10万円のエイミンシマス
オマエら通販大好きだな
しかも、~シマスシリーズ
こんな日が来るコトをすでに予測済み!?
「ありがとうございます
私のコトを考えてくれて、さっそく飲みますね」
先輩から毒薬を受け取ろうとしたらなかなかそれを離してくれない
あれ?なんで?
「…本当に……いいの?
一緒に死んでほしいなんて俺のワガママだよ
誰にも奪われたくないケド、あの男だってセリくんだって君を幸せにできるんだよね……」
こんな時でも、最期まで優しい人
本当はそんなコトこれっぽっちも思ってないクセに…それでも優しい先輩は私が死ぬコトが心に引っ掛かるんだろう
何度も私がいいって言ってるのに…
「イングヴェィ先輩は私の気持ちを気遣いすぎです
先輩は先輩の心のままに私を…
それが私も嬉しい、言う通りにしたいの
生きろって言うなら生きます…
一緒にいてほしいって言うなら……
先輩なら私の気持ち、言わなくてもわかるよね?」
私は先輩の持つ毒薬を先輩の口に含ませた
選ぶのは私じゃない先輩なの
その毒薬を飲み込むなら私は生きる
その毒薬を私にくれるなら…私はずっと貴方と一緒
私はそっちが幸せ
「……………………………………。」
私はそれを目を閉じて待った
先輩は少し考えると心を決める
この前できなかったキスを今ココで、私の死と共に受け入れる
あれだけ恥ずかしかったのも今は恥ずかしいと言うより嬉しい
先輩から頂いた毒薬は愛なの
「本当にゴメンね…セリカちゃんと一緒にいたいから……とっても愛してる」
先輩の冷たい涙が私の顔に当たる
いいの私は幸せ、だから私は今笑ってる
キスされたから照れてね
「私は嬉しいんです
イングヴェィ先輩が私と一緒にいてくれるコトを選んでくれて幸せだよ」
先輩が泣くから私も釣られて涙がこぼれちゃう
少しずつ眠気がやってくるんだ
少しだけ時間をくれるこの毒薬の優しさに感謝だね
「眠ったら私はもう目を覚まさないのね
ううん、次目が覚めたらイングヴェィ先輩と一緒かな」
死んだ後なんて正直不安…
本当に一緒にいられるのかどうかもわかんないもん……
恐くなるから言わないケド…きっと先輩も私もこの涙にはそんな不安も含まれてるのかもしれない
「うん…ずっと一緒だよ
永遠なんだからね約束する
死んだ後がどんなコトになっても…俺は必ずセリカちゃんとの約束を守ってみせるからね」
「……う…ん………」
凄く眠くなってきた中で…
私を安心させるタメに先輩はさらに私を強く抱きしめてくれて…
もう一度、優しくて温かいキスをしてくれた
そこで私の意識は途切れて二度とこの世界で目を覚ますコトはない
最期なのに…こんな幸せな死に方…
イングヴェィ先輩…大好き、愛してるの
これからもずっと一緒だね


-Yngwie End-2011/04/24

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