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『Crash lovers』完結

『Crash lovers』5-7

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『Crash lovers』5-7


ムクムクってばドコまで飛ばされたのかしら…
言葉も通じないしフワヒラリで掴めなくてイライラするし
別にほっといてもいいかもしれないケド、なんとなく私がこの世界に来てからずっと一緒にいてくれたから
いなくなると気になって寂しいもんね…
「ムクムク~いるなら返事しなさいよ~
ムークでもムックでもいいからなんか喋れ」
声が小さいから私の耳元まで来ないと聞こえないんだケドね…小さいし、なかなか見つけ出すのは難しいかも
それでも私は風が向いてるほうを歩き探していると狭い裏路地に入ってしまった
町の大通りと違ってこういう場所はドコも雰囲気悪いわね
まっ、私をただのか弱い可愛い女の子だと思ってカツアゲとかしてくるクソに遭遇しても平気だけど
むしろ逆に相手が可哀相なくらい不幸な結末を迎えるわ
ふふふ…すぐには死ねないように楽しま……
「…ん?」
グロテスク&スプラッタ的な楽しい妄想をこれから繰り広げようとした時(ムクムク探しなんて一瞬で忘れちゃうよ!)
棒か何かで人間の肉を叩くような音が歩くと近付き聞こえる
そして、私は目撃してしまった
中途半端にガタイが良いのか太ってるのか微妙なところのおっさんが顔は見えないケド金髪の男の子を叩いてるところを…
「……なんか…ちょっと前に似たような光景を見たような……」
羊さんを棒で殴ってる少年を思い出してしまう
まぁ今回は人間相手だからいいか
いや、よくねぇな
どうしようかな…助ける?見捨てる?
「…おい、おっさん背中に穴空けたくなかったら金置いて消えな」
刀の先をおっさんの背中に当て脅す
さすがに子供の前で人殺しなんてできないわ(お兄ちゃんはそんなコト気にせず殺っちゃうケド)
大人の男が女性や子供に暴力振るうのは大嫌いなのよね私
自分より弱い者を傷付けるのはいけないコトよ
金出せって言ったのは子供への慰謝料的な意味で…
「誰…」
「早くしろ」
私が誰とかおっさんには関係ないコトじゃん
刃をおっさんの背中に5cmほど押し込んだら、何も言わずにお金を置いて立ち去った
「ふぅ…子供を殴るなんて腐った大人もいるものね」
おっさんが置いていったお金を拾って俯いてる金髪の少年に差し出す
あ~ぁ~、腕とか足とか肌が見える部分がこれだけ腫れたり血が出てるってコトは全身痛いコトになってるんだろうな
可哀相に
「大丈夫なの?」
「…余計な事すんなよブス!」
やっと顔を上げたかと思ったらいきなり私を突き飛ばし暴言を吐く…顔を見て思い出した
コイツって…あの羊さん殴ってたクソガキじゃん!?
「はっ!?なんなのアンタ!?
助けてあげたんだから感謝しなさいよ!!」
一気にテンション下がった!突き飛ばされてブス呼ばわりされるとか助けて損した気分だわ!!
「助けてくれなんて言ってないし!」
なにそれ、世界が違えば私の常識は通じないってコト?
この世界は殴られるコトに喜びでも感じるのかしら
それか宗教的な何か
「ふ~ん、あのおっさんはアンタのパパってところ?」
よくわからないから私の常識で喋らせてもらうわ
殴られても庇うってコトは身内か何かだと思うから私はそう聞いてみた
「……血は繋がってない…」
少年は痛む腕を摩りながら呟く
素直…意外に素直…「お前には関係ない!」とか言われると思ったのに
なるほどね、ママの再婚相手ってコトね
「レイ~」
少し離れた大通りのほうから女の人の声がする
「あっ!お母さんだ!」
その声に反応して少年は嬉しそうに笑った
レイって言うのかこのクソガキ
「マザコン…」
「う、うるさい!」
私の足を踏み付けてレイはママの声を追いかける
痛い~!あのクソガキ殺す!
とりあえず一発でも殴らないと気が済まない私はレイを追いかけた
「レイ、帰るわよ」
「うん、お母さん…っ」
レイはママの顔を見るとさらに嬉しそうに笑ったケド、手を繋ごうとして拒否られると凄く悲しそうな表情に変えた
…殴ってやろうと思ったケド…やる気なくすわねバカ
子供のうちよママ大好きなんて
「ちょっといいですか?」
帰る親子の後ろから声をかけると2人が私に振り返る
「貴女の息子が怪我してるのに何にもないんですか?」
私から見ても痛々しい腫れた腕や足、レイ自身も痛いのかずっと摩ってるのに
気にもしないなんて、なんなのこのお母さん
「なっ!余計な事するなって言っただろ!」
私が聞くとレイは私にタックルするように近付いて小声で止めてきた
「お前には関係ない事なんだから…」
「バカじゃん?私はもう関係してるわ
目の前で見て知ってしまった以上、ドコが関係ないの?
確かにアンタとは赤の他人という関係だケド、私が気分悪いのよ」
本当に腹立つクソガキだしどうでもいいケド!
それでも…レイは私より小さくて弱い子供じゃない
気は強そうだケドね
でも…ほっとけない
このままだといつかあの血の繋がらない父親に殺されるかもしれないって思うと
こんなクソガキでも…
「…お嬢さんはレイのお友達?」
「違います」
「お友達でも他人でも同じだけれど、レイはやんちゃな子だから遊んでるうちによく怪我をするのね」
やんちゃなんて可愛いもんじゃないだろこのガキ
「私見ましたよ
このクソガキ…じゃなくて、レイの父親が殴ってるところ」
「ほほほ、何を言うの変なお嬢さんね
そんな事ないでしょう
ほらレイ、何してるの
早く帰るわよ」
「………うん……」
レイはすぐに私から離れようとしなかったケド、言われるとやっぱりお母さんと一緒に帰ってしまった
…なんだよ…スッキリしねぇな
すぐには追いかけられない私
私をブス呼ばわりし叩いてくるあのクソガキのレイがすぐに離れなかったコトが…頭に残る
「勇者様ー!拘束っ!」
「うぜぇ!?」
ちょっとすると町長の若いもんが私を捕まえにきた
「帰ってくるのが遅いですよ~
ささ、今から魔王討伐会議があるのでご参加お願いします」
「いや私、帰る場所あるし!?」
魔王さんのところへ帰りたいよ!
って言うか、魔王の花嫁が魔王討伐っておかしいでしょ!?
「魔王を倒すまでは帰れませんよ?」
「はっ?何そんな勝手に決めてんの!?あ~いにゃーー!!」
ニッコリ笑われて私は強制的に町長の家に連れ戻され魔王討伐会議に参加させられた
会議始まって5分後からうたた寝をする

「うぁ~会議疲れたーぁ」
座ったままうたた寝ってスッゴイ疲れるんだよ
なんか全身がダルイ感じ
ネムネム…会議の内容も全然聞いてねぇしな
もう22時か…早く魔王さんのお城に帰らないと
魔王さん出かけてていないケド、この町で勇者様と崇められてたら大変なコトになりそうだよ
みんなそろそろオヤスミの時間だし逃げるなら今ね
勇者様専用とか言われて2階のゴージャスな部屋に押し込められた
窓から外を見渡すと私のいる所に見張りはいなさそう…
ちょっと離れたところにはいるケド無視しても大丈夫かな
私はヒラリと華麗に2階の窓から飛び降り着地
「ムクーーー!!!??」
何かが鳴いた
足元から聞こえる何か…足をどけると潰れたムクムクを発見
「ムクムク!こんな所に!?スッカリ忘れてたよ!再会できてよかったわ!」
「ムムム…クッ!」
潰れたムクムクが気合いを入れるとプーッと膨らみ元のフワヒラリに戻った
アンタは不死身か
ムクムクと再会出来たし、もうこの町ともおさらばね
みんながオヤスミしてる夜の明かりのない町中を走り出口を目指す
このまま町を出ればまた私は魔王さんとの生活を過ごすコトになるのに…
私は…まだ明かりのある家の前で立ち止まってしまった
こんな時の勘って言うのか偶然って言うのか…変だよね
「あの男と女の人…」
いつもなら他人の家なんて覗かないのに私はその家の窓から中を覗いて昼間会ったレイの親を目撃
レイはもう寝てるのかな…
…いや!あんなクソガキどうでもいいケド!!
関係ないし…もう行こうと思った時、傍でガタッと音がする
「ムクムク…」
私の肩にいるムクムクも良い感じはしないと言ってる声
音のする方へ家の少し離れた所に人1人入れるほどの木箱があった
人の気配を感じた私はその箱を破壊
蓋開けろよ!って思うケドなんとなく破壊
「レイ…!?」
中からはお宝ではなくクソガキのレイが出てきた
嬉しくねー
木箱破壊したら金だろ金!!
って言ってる場合じゃないよね
レイは今にも息絶えそうなくらいの大怪我をしている
「ちょっとレイ大丈夫なの!?」
私が声をかけても返事はない
返事の変わりにすぐに消えそうな息遣い
「………助けないと……」
リジェウェィさんに教わった回復魔法
私には絶望的に才能がないって言われたケド、教わったコトやってみる!
このままじゃレイは死んじゃうもん!
完璧にできなくてもいい
少しでも私に使えるなら…
「………あれ?お前……」
私の魔法は傷を完璧に治すコトはできなかったケド、レイの意識が戻り喋れるくらいまでの回復を見せた
「よかった…レイ……」
「余計なこ…」
意識を取り戻したレイを見ると安心して何故か優しく抱きしめたくなった
余計なコトするな!って言われて突き放されるかと思ったケド、クソガキだから
でも、レイは途中で言葉を止めて素直に抱きしめられてた
殺人鬼の私がなんで人助けなんか…バカみたい
「その傷…私が昼間余計なコトしたからじゃ?」
「別に…お前のせいじゃない」
えっ…いつもなら突っ掛かってくんのに…
始めて私のせいじゃないって…
「バカそうなのに回復魔法使えたんだな」
「うるさいわね!バカは余計よ!」
「ほっといてもよかったんだ
もうあのまま死んだ方が幸せだったのに…
死んだらもう殴られる事もないし、お母さんだってボクがいない方がいいんだよ」
小さな子供が死んだほうが幸せだなんて…
「何言ってるの…
イヤなら相手を殺せばいいじゃない
どうして周りに助けを呼ばないの?
この町の人ならアンタを助けてくれるわよ」
「さすが勇者様…」
あら…私が勇者って知ってたのか
情報広まるの早い~
「誰も助けてなんてくれないさ…皆見て見ぬ振り
お母さんも…知ってるよ
ボクがこんな目にあってるって事」
……なんて言葉をかければいいのか
「自分からみんなに言わないのはお母さんが好きだからだよ
ボクが言ったら町の人達は助けてくれるかもしれないけど、お母さんが悪いって責められたくない
好きな人をそんな目に合わせたくないのは当然だろ
でも、ボクはいつも待ってるんだ
救われる事を…
どんなに祈っても神様は助けてくれないし
どんなに願っても悪魔さえ叶えてくれない…」
「レイ…」
頭の悪い私は彼の話を真剣に聞いてあげるコトと名前を呼ぶコトしかできない
毎日我慢するのは大好きなお母さんのタメ
でも、救われたい
そんな複雑な感情と深い考えを…小さな子供が持ってるんだ……
私より大人な感じがする
最初はクソガキって思ったケド、レイは本当は凄く優しくて愛が深い子なのかも
お母さんのタメに…死ぬまで我慢…か
「…先なんて見えなかったよ
未来に希望なんてないよ
今が必死だから耐えるだけで精一杯だから…
でも、ボクは始めて幸せだって思ったんだ今日」
「えっ…?」
「誰かに気付いてほしいってずっと思ってた…何年も…
そしてやっと今…お前が気付いてくれた」
「私が…」
「いや、気付いてる奴はたぶん他にも沢山いるか
こうして助けてくれたのはお前だけだよ
最初は中途半端に首突っ込んでめちゃくちゃにされそうだと思ってムカついたけど」
「今も中途半端よ…
私は何も解決しないままこの町を出ようとしたし
結局…今アンタを助けただけで全て解決したワケじゃないでしょ?」
「解決なんてしなくていい
昼間あの男を追っ払ってくれて、お母さんに言ってくれて…
あの箱の中で消えるボクに気付いてくれて今傍にいてくれるだけで十分
ボクは…それだけで幸せ
明日あの家に戻って、明日こそ殺されたとしても…
一度でも幸せな気持ちを持てたなら…悔いはないから」
…たったそれだけのそんなコトがこの子にとっての幸せなんて…
幸せは人によって違うかもしれないケド…
「レイは…もっと幸せになるべきだよ!
そんな幸せ認めないわ!
今が良ければ全て良しって言葉もあるケド、アンタは未来でもっともっと幸せにならなくちゃ!
今までずっと辛かったなら…諦めないでよ
明日死んでも構わないとか言わないでよ…
アンタは私より長生きしなきゃいけないんだからね!!」
あれ…おかしいな……
殺人鬼の私が、人間の死に涙するなんて……
レイが死ぬかもしれない殺されるかもしれないのは凄く悲しい
この前知り合ったばっかで、今日1日いっぱい喋っただけなのに
どうしてこんなに気になるの…
「……名前は?」
「いきなり何…セリカだケド…」
「セリカ…会ったばっかなのに
ううん、短い命に時間なんて関係ないか」
呼び捨てかよ!レイの歳聞いてないケド、見た感じからして7歳か8歳は離れてると思うんだよね!
さん付けなさいよさん!!
「短い命なんて言わないの!
さっきも言ったケド、レイは私より長生…」
「うるさい女だな、わかった
もしボクが長生きして大人になったら…」
レイは私の頬に手を添えて、軽くキスをしてくる
「セリカを嫁にしてやるよ」
ぬっ…!?
いきなりのコト過ぎて思考が停止…
ハッ!わ、私のファーストキスが…!
こんなクソガキ…いやマセガキだ!に奪われるなんて……
「な、何すんの…いきなり!」
「ハハハ」
レイの笑った顔、始めて見た
大好きなお母さんに向ける顔とは違う別の顔…
私はその顔に負けて熱くなってしまう
魔王さんへの想いが、不思議なコトにレイのキスで消えてしまう
どうして…なんで…私は…こんな子供に恋をしてしまうの
「セリカみたいな女、誰も貰ってくれないだろうから早く大人にならないとな」
なんか生意気言ってるケド、レイが未来を見てる
レイが生きてくれるなら…いや、その前にどんだけマセてるんだ
こんな奴だったのレイって!?
まだまだ話したいコトはあったケド、前向きに生きるコトにしたレイは家に戻るみたい
大丈夫かなと言う心配をしつつも
私自身もまだ15の子供だからどうしようもできなかった
できるコトと言ったらレイの親を殺すコトくらいだけど、レイはそれを望まないから
「あらあら、こんな人間の町にいらしてましたの」
上空に良い匂いがすると思ったらセレンが私を迎えに来てくれたみたい
「セレン、どうして私がココにいるってわかったの?」
私がセレンに気付くと彼女は地に降りる
「ムクムク種族は互いが何処にいるかわかる能力を持っているのですわ」
と私の肩にいるソックリな片割れのムクムクを手に乗せて見せた
そういえば、私付きのムクムクって男女セットだったわね
どっちが男か女かわからないケド、1匹置いてきちゃってたわ
「さっ魔王様が予定より早くお帰りになられたので、貴女も遊んでないで帰りますわよ」
「あっいや…私は…」
魔王さん早く帰ってきたの!?
えっ…どうしよう…
私、なんでか知らないケド魔王さんへの気持ちが一瞬でなくなったと言うか…
勇者になったし、帰ったら殺されるような気がするんですケド
「貴女を連れて帰らないとセレンが叱られるんですの!」
そう言われて私は無理矢理連れて帰られてしまった…
お城に帰るとまずはリジェウェィさんが出迎えてくれた
「まぁリジェウェィ様!セレンをお出迎えですのね~」
リジェウェィさんラブのセレンさんはなんか感動してるケド、リジェウェィさんはセレンさんをガン無視で私の前に来た
「夜になっても帰って来ないから心配したぞ」
「すんません…」
「ん?匂いが…」
「はい?」
おかしいという顔をしてリジェウェィさんはさらに私に近付く
わぁリジェウェィさんも良い匂いがする~
「惚れ薬の匂いがしない…」
「えっ?」
惚れ薬の匂いがしないって…効果が切れたってコト?
いや惚れ薬なんて信じてなかったケド、でも…魔王さんへの想いがなくなってしまった今の私ならそれも信じてしまう
魔王さん…優しい人なのに、そこまでして私に愛してもらいたかったのかな
ちょっと可哀相な人
「何があっ…」
「セリカさん」
リジェウェィさんが私に事情を聞こうとした時、魔王さんも会いに行く前に私を出迎えてくれる
「魔王さんお久しぶりです」
「………………………………。」
でも、魔王さんも気付いてしまったのか
いつも優しく微笑んでくれるのに…今は悲しい表情をしている
「もう貴女は私を愛してはいないのですね…」
「…ゴメンなさい魔王さん」
とても良い人だけど、私は貴方と恋しない
好きだケド、愛じゃないの
「わかりました
無理矢理こちらの世界に連れて来て申し訳ありません
貴女の世界に帰して差し上げます」
「そ、それはちょっと待っ…!」
そんなコトされたらもうレイに会えないじゃない!
大人になったらレイは私をお嫁さんに…
優しい魔王さんは私を殺す事もなく、最後の優しさを見せて私を元の世界に帰してくれた
でも、魔王さんの最後の優しさは私にとって嬉しくないもの
最初にココへ来たように帰る時も一瞬だった

-続く-2011/04/11


 
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