FC2ブログ

『ヤンヤミ』完結

『ヤンヤミ』11

 ←『ヤンヤミ』10 →『Crash lovers』5-6


『ヤンヤミ』11


私が意識を取り戻すと傍にはみんながいてくれた
イングもカケルも王様もカズ様も
「姉さん!!!!」
私が目を覚ましたコトに気付いてみんなを押しのけて1番最初にカケルが抱き着いてくる
「何やってんだよ~~~!!」
まだ私寝ぼけてるからね
でも、こうしてまたカケルに触れられるコトができて嬉しい
カケルに抱きしめられながらも後ろにいるイングと目が合って、闇のなくなった本来のイングが私に優しく笑うとなんだか照れ臭くてカケルの胸に顔を隠してしまった
「本当に驚いたよ」
「カズ様…」
私の隣に座るカズ様を見ても、もう私の心は何も感じない
その好きだったカズ様の笑顔もイングの笑顔に比べたら敵わないし何の力もないわ
「あっさり闇魔法を受けるとは思わなかった」
カズ様は私が裏切らないようにカケルに魔物に好かれる力を与えて、天魔法から解放されるには闇魔法を受け入れなきゃならないって過酷な条件を突き付けた
彼にとっては私が闇魔法を受け入れないと思って出したものかもしれないケド、私にとっては好条件だったのよ
カケルとも一緒にいられてカズ様への想いからも解放されて…イングのコトも救える
一石二鳥どころ三鳥だった
「ふふ、負けたな
君の事は諦めようか
でも、ずっと見守ってる事は変わらない」
「…ありがとうございます……カズ様…」
カズ様のコトは好きだった
でも、その時は私はカズ様を受け入れなかったの
だって私だけを愛してくれないのは悲しいし傷付くだけだしそんなのイヤだったから
今は違う
今は一度だけ、彼から私を祝福するという意味のキスを額に受ける
「それじゃまた、顔を見には来るかな」
爽やかな挨拶を残しカズ様は消えた
サヨナラ、カズ様
私の神様だった人
うん…カケルがカズ様にキスされた私の額を必死に袖で拭いてるケドね…
「っつーか、姉さん闇魔法持ってるのに…なんか普通じゃね?
そんなに病んでるように見えねんだケド…」
「私も不思議~
昔に闇魔法持ってた時の記憶を思い出したケド、全然辛くも苦しくも悲しくも恐くもなんともないの」
カケルにくっつかれてるのも嬉しいケド、私はさっきから気になって気になって仕方ない
カケルにゴメンねってちょっと離れてイングの傍に寄る
「セリちゃんが元気ならよかったよ」
「イングがいるから平気…」
照れちゃうケド見ていたいイングのコト
大好きって気持ちが爆発しそう
こんなにも誰かに恋したコトない私
「いくらイングが今天魔法持ってるからって!
逆の立場の時とえらい違いなくねぇか!?おかしいし!!」
確かに天魔法は闇魔法を掻き消す力があって傍にいると少しだけ心が安らぐけど完全には消えないし酷く病むコトに変わりない
「おかしいなんておかしいよ
だって俺はセリちゃんのコトが大好きだもん
天魔法の力はおまけだよ
救えるのは愛なんだって、自分が闇魔法を持ってる時にわかったんだよね」
世界の何もかもに絶望して、好きな人ができたらそれが俺の世界になって絶望から嫉妬に変わる
とイングは言う
「君にそんな思いはさせないよ
嫉妬なんかさせない傷付けたりなんかしないから
君が俺を助けてくれたなら今度は俺が助ける番
ずっと守るから君の全てを
愛してるって言ってもいいかな?」
ちょっ!恥ずかしいし!みんなの前で!!バカなのこの人!?
でも、凄く嬉しいの
いつからイングのコト好きだったのか私はわかんない
ずっとカズ様を好きにならなきゃいけなかったから、きっと出会った時から好きだったんだろうな
いくら冒険者になるのに強い仲間がほしいと言っても私がカケル以外の誰かを受け入れるなんて今までなかったもの
「イング…うん、聞きたいな……」
ずっと想ってくれてたイングの気持ちに応えるとイングは少し顔を赤らめてその太陽のような笑顔をさらに輝かせた
その顔好き、闇魔法を持ってた時は見れなかった本来のイングが大好き
「嬉しいな…
大好きだよセリちゃん大好き
出会った時からめちゃくちゃ愛してるんだからね!」
「私もイング好き好き大好き~」
イングに抱きしめられるともっと嬉しい
良い匂いがするし、闇ってた時は冷たかった肌も今は温かくて幸せ
「あの姉さんが…デレるなんて……ついにこの星も終焉の時か!!」
どういう意味よ!!
わざと良い雰囲気をぶち壊そうと茶々入れてくる弟
イングと私が見つめ合ったら
「ダメだーーー!!!!!!!!!
キスなんてしたら殺す!!!!ぶっ殺す!!!!
姉さんにはまだそういうの早いんだよ!!!」
とか喚いて無理矢理引き離された
早いって…私もう大人なのよ23歳よ!!
「ヤキモチ?カケルも好き好き~」
とりあえずうるさい弟にもスリスリしてみた
「ひぇっ!?…あ、あの……姉さんが……甘えてくるなんて……人格崩壊したのか?
いや!俺的にはこっちのほうがおいしいし好きですケド!!
いや!気の強い姉さんも好きだったよ!!」
「カケル、ドMだもんね」
「うんそう…っじゃねぇよ!!!
Mじゃない!!……たぶん
でも、やっぱり男の俺としては可愛い姉さんのほうが好き~スリスリ」
カケルもちょっと甘えん坊なところがあるよね…
私をぬいぐるみのように可愛がって頬擦りしてくれるのは嬉しいけど、度が過ぎるとウザイ
「天魔法がなくなって姉さん変わっちゃったケド、僕はどんな姉さんでも…」
カケルがいつもより私に構ってくるのを見た王様は
(いつもは私のウザイ発言が恐くてしつこくできなかったみたい)
「カケル様…私にもそのスリスリとやらを……」
カケルの腕を引っ張り存在をアピール
そういえばこの前からずっといたのに空気でしたね
「えっなんで?僕、オマエのコト好きじゃないし」
「私はカケル様の事を愛しておりますわ
カケル様がしてくれないのでしたら、私からスリスリですわ!」
「むっ!」
嫌がるカケルを力で捩伏せて抱きしめて…私の目の前でイチャつく2人を見ると私の心は一瞬にして嫉妬の炎に燃え上がった
「ゆ、許せない…
カケルが私以外の人とイチャつくなんて…殺したい」
「イチャついてねぇよ!?
襲われてるってのが正解ですケドね!?」
そうかもしんないケド!カケルが他の人とハグハグスリスリされるのはイヤ!!
嫉妬のあまり私は無意識のうちに親指の爪を噛み剥がしてしまう
血が出て痛みに意識がいくと嫉妬への意識が薄らぐケド、完全に嫉妬の意識の方向を変えるまで私は自分の身体に痛みを刻む
それが闇魔法を持つ者の…
「カケル…」
人差し指の爪を噛む前にイングに手を掴まれ離された
痛いの…指が
「あっ」
イングに名前を呼ばれてハッと気付いたカケルは王様に強く言う
「姉さんに嫉妬させたらオマエのコト本気で嫌いになるからな!(今も嫌いだケド)
今すぐ機嫌取ってこい!!」
「…わかりました」
大好きなカケルに嫌いになる発言されて渋々王様は女の姿から男の姿に変え私の傍に来る
「私にしてほしい事があれば何でも言ってください
貴女の為なら全て叶えましょう」
私のタメ=カケルのタメなんだろうケド、私はすぐに許した
「えっ!?許すの早くね!?自分の爪剥ぐまで嫉妬しといて!?」
「だって、私美形な男好きなんだもん
それだけでいいわよ」
「そこは前と変わんねぇのな!?」
「私の前ではずっとその姿でね」
「はい」
ラッキー、王様の男姿って見た目超好みなのよね
イングも超美形だけどジャンルが違うって言うか
でも王様が恋人ってのは考えられないかな
目の保養って感じ
「うわぁ…逆ハーレム……」
「カケル、これで私を許してくれますか」
王様って男女で性格変わるのね
私も男だったら多少は性格変わったかな~
「まぁさっきのコトは許すケド
…男の時は僕の半径10メートル以内に入ってこないでくれないかな
なんか…身の危険を感じてさっき食べたソーダゼリー吐きそう」
「私はいつまでも温厚ではありません
あまり私を…」
「ゴメンなさい」
あのカケルが謝るなんて!?
一体何が…
王様とカケルのやり取りを見てるとイングが静かに私に外へ出ようと誘う
ちょっとカケルのコトが気になったケド、イングが大丈夫って言うなら大丈夫よね
私が闇魔法を受けてから意識を失って1日くらい時間が過ぎてたみたい
みんな寝ないで私を心配しながら起きててくれたんだね
みんな大好き…
陽が顔を出した朝早くの村は元々人が少ないケド、誰にも会うコトがなかった
もう起きて動いてる人達もいるんだろうケド、この村のすぐ近くにある小さな湖には誰もいなかった
「前は出来なかったコトだけど、今はこうして怪我をした君を治す力に感謝だね」
天魔法を持ち始めのイングはまだ使い方がわからないのに一生懸命私の爪が剥がれた指を治してくれる
「痛かったよね…ゴメンね」
「どうしてイングが謝るの?
私が勝手に嫉妬して勝手に自分を傷付けただけなのに…」
私の治った親指のある手を握って祈るように謝る
「セリちゃんが一瞬でもイヤな気持ちになるのが俺もイヤなの
大好きな人にはずっと幸せだけを感じていてほしいよ
君が傷付くと心が張り裂けそうなくらい悲しくなるんだ」
「……ゴメンなさい…
イングがそこまで私のコトを…
私、自分のコトしか考えてなくて…」
私が傷付いたら悲しむって人のコト忘れてた
自分の嫉妬に支配されてた
「でも、今は大丈夫!
逆に言うよ…私が悪いのにイングが自分を責めたら私も悲しいよ」
泣いちゃう~
誰かに強く想われるって、愛されるって…とっても幸せなコトなんだね
私、自分が闇魔法を持った人間なんて感じないくらい幸せだよ
「イング好きぃ」
いっぱい甘えても受け止めてくれる
いっぱい頼ったらいつも支えて助けてくれる
「うっ…」
私が好きって言うとイングは困ったという顔をする
それを見て私は頭が真っ白になるくらいのショックを受けてしまう
でも、それは一瞬で…
「セリちゃんから先に好きって言われるなんて嬉しいケド、やっぱり俺から先に言いたいって変なこだわりが…
きっとあの時、君から先にキスされたコトが心残りなのかも」
「えっ…」
「やっぱり、俺からしたいじゃん
負けた気がするんだよね…
セリちゃんの方が上みたいな感じでちょっとプライド的にね…」
わぁ…イングもう闇魔法持ってないのにちょっと病んでる……
もしかして、元から恋愛事には病む傾向があったのかも…?
「嬉しかったケド…」
「じゃ、じゃああれはノーカンで!
ノーカウントだよ
だってあの時のイングは本来のイングじゃないし、私も気持ちがカズ様に向いてたから
あんなの…数に入らないよね」
「………そ~だよねっ!」
ちょっと間があったのは考えて納得したってコトかな
「あんなの数に入らない!なんか燃えてきたかも!!」
「えっと~…おめでとうなのそれ?」
「これからが本番なんだよね!
これから続く俺とセリちゃんの愛の日々!恋人同士だよ~うんうん」
本来のイングってこんな人だったのね…
ちょっと私を好きすぎるのがウザイ…けど、良いかも
「うん、これからもヨロシクねイング」
「ずっとヨロシクだよ」
これからは本当のイングと私で冒険していくんだよね
今までのコトが自分じゃない人生のような気がしてくる
大好きなイングとカケルとおまけで王様と、みんな一緒なら毎日楽しいコト間違いなし
私はイングがいれば自分の力に負けたりしない
少しも後悔なんてないわ
苦しくも辛くも悲しくも恐くもないもん
イング自身も私に闇魔法が移ったコトを悔やむより私にその辛さを感じさせないように幸せにと接してくれる
私ならきっといつまでも悩んで何もできないよ
やっぱりイングは強くて優しい人
天魔法を持った私が救うハズだったのに、本当は反対なの
貴方なら私を救ってくれるって信じてたよ

-終わり-2011/03/25
関連記事


  • 【『ヤンヤミ』10】へ
  • 【『Crash lovers』5-6】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【『ヤンヤミ』10】へ
  • 【『Crash lovers』5-6】へ