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『Bilocation』

『Bilocation』19

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『Bilocation』19


国に捕まってもなんとか逃げ出せた私は魔王城に帰ると疲れた身体を広間のソファで休める
「は~疲れたわ~…」
「セリ、無事だったんだな」
私が帰ってきたコトに気付いたレイと結夢ちゃんが傍まで寄ってきた
その後ろにはミソラさんの姿があって…
「えっ!?なんでミソラさんがココに!?」
ダラけてた私の姿が恥ずかしくなってパッとソファの上で正座をして何事もなかったようにする
「ここにいたら安全かなと思ったの
セリくんに相談する前に勝手に連れてきちゃってごめんなさいね」
結夢ちゃんが申し訳なさそうに言うから私は笑って首と手を横に振った
「ううん!謝らないで結夢ちゃん
ミソラさんなら全然良いよ!
そこのレイにくっついてる女は認めてないケド、ミソラさんならいい」
尊敬するミソラさんがそこにいると何か照れるケド、ちらっと見えるレイにくっついてる姫が視界に入るとムッとなるわ
「それで、どうだったんだ?」
姫にくっつかれてるのにまったく気にしないで普通にしてるレイが…なんかうける
「ハッ!?忘れてた!捕まりに行っただけで何もしてないッ!!」
ミソラさんのコトで聞きたかったのに捕まって香月さんが私達に気付いてたコトに気を取られて普通に帰ってきてしまった
イングヴェィがいれば王様脅して解決させるコトだってできたのに…
今からイングヴェィについてきてってお願いして行こうか!?
(待て待て、俺だってミソラさんのタメならどんなコトだってしてぇし
イングヴェィがいれば簡単にできるだろうケド…
そんなコトしたら二度と人間には戻れなくなるだろ
こうして魔に囲まれてるが俺は人間なんだよ
レイも結夢ちゃんも…人間を裏切るコトは今はする気はない)
「ったく…セリはしっかりしてると見せかけてどっか抜けてるんだからな」
「アホだから…」
「いまさら言わなくても知ってる
その抜けた所を昔からオレがフォローするんだろ
セリだけに負担なんてかけさせないからな」
レイにときめいた
(またか!美形で優しかったら誰でもいいんか!?)
いや私は一途だよ!
いつも言ってるケド、こうして私のコト心配してくれて協力してくれる友達がいるって嬉しいの
私のいた世界にはありえないコトだもの…
(セリカ…俺が悪かっ)
そう!私が悪いんじゃなくてこの世界に美形で優しい人が多いのがいけないの!
美形に惚れるななんて難しいよ!!
美形が悪い私は悪くない
(オイ……)
セリくんが呆れてるケド~気にしないもんね
見てるだけならいいでしょ浮気はしないもん
(キスしたりしなくてもその浮ついた心が浮気にもなるんじゃねぇの…)
えっ…じゃああんまり騒がない
イングヴェィを傷つけたくないし
(もう傷ついてる所いっぱいありそうだケドな
アイツ超嫉妬深いし)
美形は好きだケド私が愛してるのはイングヴェィだけだよ
(うんわかってる)
セリくんが私の気持ちはわかってると笑ってくれる
「とにかく、ミソラさんはココにいれば安全だよ
俺達が守るから気楽に過ごしてくれればいいです」
「ありがと」
さすがにいつもリーダーとして輝いて見えていたミソラさんも今の状況は辛いのか無理した笑顔になってる
…なんとかしてあげたいな……
でも、どうしたらいいんだろう
捕まるような私が王様に話しなんて聞いてもらえるワケないし…
色んなコトを考えながらその日の夜は過ぎてしまった


ミソラさんがココに来てから1週間は立ったのかな
とくにこの1週間は仕事もなくのんびり過ごせた
尊敬するミソラさんが寝ても覚めても近くにいるのは今でも夢のよう
前はあんまり話せなかったケド…ううん、今だって私が恥ずかしがって十分には話したりできない
それでも前より顔を合わせたり話しをするコトも増えて、凄く嬉しいよ
「セリさん」
「はい?」
朝食中に会ったミソラさんから声をかけられてドキッとする
ん~やっぱり尊敬する人と話すのは緊張するし
こんな私なんかに話しかけてくださってありがとうございます!って感じ!
「何か手伝ってほしい事とかないの?」
「そんな!ミソラさんにお手伝いさせるなんて!なんでも自分でやるか、できそうになかったらレイに頼むから大丈夫ですよ!!」
ミソラさんからそう言ってもらえただけで嬉しいし十分だよ
「俺が何か手伝えるコトあったら言ってください
なんでもしますから」
「ん~…今のうちは何もないから、お世話になってるセリさんのお手伝いでもしようかなと…」
お世話になってるのはいつも私のほうだよ!
ミソラさんは少しだけ考えると何かを思い出したようにあっと言う
「前にセリさんがレイ達と話してたのが聞こえたんだけど、新しい武器はもう手に入れた?ようには見えない…」
そういえばそんな話してたね…
短銃は扱いにくいから私に合った武器がほしいって言ってたの
ミソラさんのコトがあってスッカリ忘れてたや
「あっ…まだです…スッカリ忘れてました
リジェウェィさんって人に会わなきゃ…」
「ついて行くよ」
えっいいんですか!?
「ありがとうございます!すぐに準備してきます!」
わ~憧れのミソラさんと一緒にってのは嬉しいな
俄然やる気が出た私は勢いよく席から立つ
朝食の片付けをしてから私は自分の部屋へと用意しに戻ると一旦ミソラさんと分かれた

「セリくん出かけるの?」
「あっ結夢ちゃん?」
すると、大食堂を出た廊下で結夢ちゃんに呼び止められる
「うん、前に言ってたリジェウェィさんの所に行ってくるよ」
「……ミソラさんと2人で…?」
私の服の袖を軽く掴む結夢ちゃんの表情は少し曇っていた
「ん?そうだけど…
今回は危険な所へ行くワケじゃないから2人でも大丈夫だよ
すぐ帰ってくるし、結夢ちゃんはゆっくり休んでて」
この1週間ヒマだったから結夢ちゃんも行きたいのかな~と思いながらもお留守番させる
仕事じゃないからお金にもならないし、無意味に結夢ちゃんを連れ出すのは悪い
ミソラさんもだケド…
レイとか恋時なら気にしないで誘うケドね!
「そう…」
あれ?なんだか結夢ちゃん元気がない…
私の袖から手を離すと寂しそうに感じていると言うか…
「何かあった?何か困ったコトがあったらなんでも言ってくれよ」
「ううん…大丈夫よ
いってらっしゃい、早く帰ってきてね」
結夢ちゃんは無理したような笑顔でそう言うと速足でドコかに行ってしまった
一部始終を見ていた恋時が私の肩を叩いて大きなため息を吐いてきた
ミントの息が鼻を掠める
「悪い男だなお前…」
「はっ?なんだよ急に、オマエより悪い奴なんてこの世にいないだろ」
「あれはたぶんいやきっと…んな!確実に結夢ちゃんはセリの事が好きだな」
なんか得意げに変なコトを言い出す恋時に冷たい目を向ける
「ミソラさんと三角関係?やべおもしれぇ」
「恋時…バカかオマエ?結夢ちゃんが俺を好きなワケねぇだろ
それに俺は尊敬はしてるが、ミソラさんのコトは恋愛感情なんてカケラもねぇよ
オマエが面白がる三角関係なんてありません」
私がイングヴェィ好きだからじゃなくて、セリくん自身がミソラさんに恋愛感情を持っていないの
「鋭いお前がこういう事には鈍いなー
結夢ちゃんは確実にセリに惚れてるってよ」
本人に聞いてもいないクセに何デタラメを…
「女の子同士の同性愛は良いと思うし、私は男でも女でもいけるケド
私の好みはカッコ良くて男前で紳士的な年上のお姉様なんだから!!」
「わり、なんか話が急に見えなくなった!」
普通の人からしたら私の意味不明な発言を聞くと恋時はじゃ頑張ってと言い残して去っていった
(わかる)
だよね!
(大人しくて可愛い女の子も好きだケド、やっぱ年上でシッカリしたお姉さんがいい)
恋時が聞いてくれないからセリくんと盛り上がる…ヒマがないのに今気付いた!
早く用意しなきゃミソラさん待たせちゃう!!

とりあえず、遠くはないらしいので私は簡単に軽く準備をしてミソラさんと合流した
おやつとかおやつとかおやつを用意した
(いつでも遠足気分!)
「ほぇ~…ココがリジェウェィさんのいるお家なんだ~…」
セリくんに言われるままに歩いていくと魔王城から30分くらいの所
小さな森の中、私の立つ目の前に大きな樹がある…
「ってドコに!?家なんてないケド!?心が汚れてたら見えないとか!?」
「うちも見えないけど…」
「ハッ…ミソラさんは心が綺麗だから、うん心が綺麗な人には見えない家なんですね!!」
無理がある言い方だった
(変な設定勝手に作るな
リジェウェィさんはこの下にいるんだよ
ちょっとしたコツがあって、踊らないと入口が現れねぇんだよな…)
お、踊り!?私運動音痴だからダンスとかできないよ!?
なんでそんなワケわからん仕掛けにして地下に引きこもってんの!?
地下に引きこもる根暗なのかダンス好きの陽気なのかリジェウェィさんってどんな人よ!?
(あぁ言い忘れてたケド、リジェウェィさんって…)
「ミソラさん、何かこの上で踊らないと入口は現れないそうです」
「そうなの?こんな感じ?」
何の疑いもなく私の代わりに素敵なダンスを見せてくれるミソラさんに釘付けになる
ミソラさん素敵です!カッコイイです!
と1人盛り上がる私とは反対にセリくんはやべぇと言う感じに申し訳ない気持ちで埋め尽くされる
(あ~!ミソラさんの素敵なダンスが見られたのは嬉しいが!踊りで入口が現れるってのは冗談だったんだ!)
えええ!?私に変な設定勝手に作るなって言ったクセにセリくんだって変な設定勝手に作って私を騙すなんて!
「…すみませんでした!踊りで入口が開くなんてウソ情報です…」
ミソラさんの目の前で土下座して謝っても自分が許せない
冗談を間に受けてミソラさんを騙すなんて…
このまま私を踏んでくれてもいいです
(それは何か色んな意味で危ないからやめろ)
「あら」
ミソラさんは怒るコトもなく笑って踊るのをやめた
「気にしない」
許してくれるミソラさん優しい
もうミソラさんがいる時には冗談を言わないと誓ったセリくんだケド…ホントに冗談言わないかどうか怪しいよ…
入口が開くにはそこにある赤茶色の花を引っこ抜けばいいんだと
ランダムでたまに爆発する時があるらしい
なんで!?殺す気!?私死ぬよ!?
「ミソラさん離れててください!」
一応ミソラさんを私から離れさせて赤茶色の花を引き抜いた
「OK!爆発しなかった!!」
(ランダムで爆発するとかウソだけどな)
おい!
(リジェウェィさんが受け入れない奴が引き抜くと爆発するってだけ)
花を引き抜くと爆発はせず数秒立つと大きな樹に入口が現れた
私はリジェウェィさんに受け入れられたってコトね
まっセリくんだから当然か
入口が現れると引き抜いた花は手の中で消える
「それじゃ行きましょうミソラさん」
開いた入口はすぐに地下へと続く階段になってる
薄暗い階段は結構な距離があった
「まだかい…
ミソラさん疲れました?」
「平気ー」
私凄く疲れたんだケド…体力の違いかしら
セリくん…女の子より体力ないなんてどうなの…
(うるさいバカ…)
あっ落ち込んだ…気にしてたのね
「ぅわッ!?」
何事か!?と一瞬思った私はどうやら足を滑らせて階段から落ちそうになりヒヤッとする
でも私が足を滑らせたコトに気付いたミソラさんが反射的に私の身体を支えてくれた
「大丈夫?」
「ふわ~ビックリした~死んだかと思ったよ…
ミソラさんありがとうございます」
「気をつけてね」
うぅ…ミソラさんに助けてもらうなんて恥ずかしい
今の私は一応セリくんとして男の子なんだから、女の子に助けてもらうんじゃなくて逆に守らなきゃいけないのに…
私は鈍臭いからいつも失敗してなんでも完璧なミソラさんにいつも助けてもらってる
私はミソラさんの力になりたいのに…そんなコトできなくて…逆に迷惑しかかけてないのかもしれないな…
悩むの
どうしたら貴女を助けられるのか…


-続く-2011/12/05
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