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『Bilocation』

『Bilocation』18

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『Bilocation』18


「セリ」
「ふん!」
名前を呼ばれてもプイッとする私はレイに対してで
ミソラさんの手紙が来たコトをレイは知っていて誘ってもいないのに勝手についてきた…
「あらあら…セリくん……」
今日は前に守るから一緒に行こうって約束した結夢ちゃんを誘ってるから隣で拗ねてる私に困りながらも苦笑している
「レイは俺と一緒にいるより姫と一緒にいればいいだろ」
姫を優先するレイが気に入らない…
私を1番に考えてくれないなら知らないもん
いまさらなんなんだよ…バカ……
「…オレがいないと何も出来ないくせに」
いつまでも拗ねてツンしている私にレイも腹が立ったのかムカつく言葉を口にしてくる
(むか…何レイの奴ムカつく…年下のクセに!!)
レイの言葉は自分じゃなくても誰かがいないと私は何も出来ないって意味に聞こえるし、そういう意味で言ってると思う
それが図星でわかってるコトで本当のコトだから…それを言われるとムカつくんだわ……
わかってるもん!!
「別にレイがいなくったって大丈夫だし!!行こ結夢ちゃん!」
険悪の空気のままでも私は遅れるといけないからミソラさんに呼び出された場所に急ぐ
レイは何も言わずについてくる…帰ってもいいのにね!べー!

気分は最悪だケド、尊敬するミソラさんに会って力になれたら元気になると私は思いながら待ち合わせ場所についた
(……なんだ?なんか静かじゃねぇか?)
いつもの待ち合わせ場所の酒場は何故かシーンと静まり返っている
あれ?いつもは賑やかなのに…私達が1番最初についたってコト?
いやでも…今日はレイとツンしてたからいつもより遅れたと思ったんだケド……な
辺りを見回しながら足を進めていくと
明るい部屋の中央にあるカウンターにもたれ掛かる1人ポツンとした寂しい雰囲気を醸し出してるミソラさんを見つける
「ミ、ミソラさん…1人ですか?」
尊敬してる人に話しかけるなんてめちゃくちゃ緊張する
いつも話さないし…私は見てるだけだから
「他のみなさんは?」
「たぶん…来ない」
ミソラさんは俯いて元気のない声を出されると私の心は締め付けられるように苦しい
心配しながら見ている私にミソラさんは後ろにしてたカウンターに置いていた紙を見せる
「これって…」
目を疑うような内容が書かれていたその紙はミソラさんを指名手配するものだった
(…なんなんだよコレ…こんなの俺知らねぇぞ……変わってる…)
息を呑み信じられないと声をもらす
変わってる?セリくんの言葉が気になりながらも
私は生死問わず捕まえた者への報酬が100億と書かれた所に目がいく
(100億?ありえねぇだろ…
ミソラさんが香月と同じくらいの報酬金をかけられるなんて…)
香月さんも!?
いや…香月さんは人間の敵である魔王様だからわかるケド…でも、魔王と人間のミソラさんが同額なんておかしいって私でも思う
「一体誰がミソラさんに賞金なんてかけたの…殺そう」
(うん、そうしよう…)
「誰がじゃないな、国から出てるものだ」
レイがその紙を確認すると国の証が記されているらしい
どれか知らないケド、たぶん豪華そうなこのハンコがそうなんじゃないかな
(国がミソラさんを?どんな悪党がいようが見て見ぬフリする国が何故…)
ミソラさんは賊から奪われた宝を取り戻す義賊からそのお宝を横取りなんて悪いコトしてるケド…!ケドね!!
盗みは盗みと変わらないってコトで、世界は義賊の存在も認めてないハズよ
だから義賊の宝を横取りしてるミソラさんが100億も賞金かけられるなんてありえない!
ってセリくんが言ってます
「俺…聞いてきます…
一応これでも勇者だから!王様とは友達感覚で会えるし聞いてきますから!!」
(友達じゃねぇケド!?
おいおい…熱くなるのはわからなくもねぇが…
王様に会って聞くなんて俺からはできないぜ
呼び出されない限り…それに…)
勇者は特別って昔から決まってるのよ!
(オマエのいた世界での決まりなんて知るか!)
私のいた世界に勇者なんていないです!ただのイメージです!
「セリ、落ち着け
今お前がどういう立場にいるのかわかって言ってるのか」
「セリくん…」
なだめるレイと結夢ちゃんの言葉にも私は首を横に振り
「納得いかないよ
ちゃんとこれだけの賞金をかける理由を聞かなきゃ
レイと結夢ちゃんはミソラさんの傍にいて、何かあるかもしれないから…」
2人にミソラさんを頼んで私は酒場を飛び出した
私がなんとかしないと…ミソラさんの指名手配を取り消させる
私なら…勇者のセリくんにしかできないコト
(セリカ!いいから俺の話を聞け!!)
「あっ」
さっきからセリくんがうるさいから何よと思って立ち止まろうとする前に私は視界にある人が映ってそれで足を止めた
ミソラさんの仲間の1人だ…名前は確か…ぶーにゃんさん
(そんな奴いた!?)
いたいた
男で
(男って言うかペットみたいな名前だけど!?
まぁ見たコトは何回もあるケド…その名前はたぶん違う)
「ぶーにゃんさん!」
「えっ僕?ササキですけど…」
周りに誰もいなく自分にしか話し掛けられていないぶーにゃんさんは実はササキさんだった
(ほらな!)
そういえばそんな名前の人いたね
(ぶーにゃんがどっから出てきたのか詳しく知りてぇわ)
「そんなコトより!ササキさん」
(名前間違ったコトをそんなコトで片付けるな)
「ミソラさんから手紙来てるハズですよね?
どうしていつもの所に来てくれないんですか」
いきなり話し掛けられたササキさんは驚いているケド、私がミソラさんの話をすると少しイヤそうな表情に変わる
「知らないのか?国がミソラに100億の賞金をかけたって
そんな奴と一緒にいて危険に巻き込まれるのは御免だ」
知らないワケじゃない…さっき聞いたばっかだし
ササキさんが言う通り他のみんなもそう思って来なかったんだと思えてきた
「だいたいミソラって義賊から宝奪ってるわけだからよくないだろ
悪党から宝盗まれた弱い人間のために宝を取り返す義賊狙うってさ最低じゃんー」
いまさら…なんだよソレ……
義賊から簡単にお宝を横取りできてそれを金に変えておいしい思いをしていた共犯のクセに
強制でもなんでもないのに悪いコトだってわかってて話に乗ってやってきてたクセに
主犯のミソラさんがこんなコトになったらあっさり見捨てて他人のフリですか
「そんな悪い奴を助けろとでも君は言うの?
そもそも君は勇者なのにミソラに付き合うって正気?」
ミソラさんのコトを悪く言う目の前の男に対して怒りがたまってくる
「俺は正気だね!!
オマエとは違う!俺は絶対にミソラさんを裏切らない!
彼女が悪いコトしてたって…彼女の力になる……
ミソラさんが俺を裏切らない限り見捨てたりはしねぇ…」
実際にミソラさんに助けてもらったのはセリくんで私にはその記憶がないケド
セリくんから話を聞いてみて、セリくんと私が同じ気持ちになるなら私も強くそう思うの
受け身な私をいつも誘ってくれる
言わなくても私をわかってくれる
それだけで凄く凄く嬉しいんだから……
「ミソラさんは俺が守る…何があっても」
尊敬する人が悪く言われたらめちゃくちゃ悲しくなるケド、こんな所で立ち止まってるヒマなんてない
私は泣きそうになるのを我慢して、ササキの足を蹴ってからまた走り出した
(やると思った)
本当は殴りたかったケドね!!
ササキは私に蹴られたスネを押さえうずくまり痛みに耐えている
(俺なら殴ってたな!!)
私達は一緒なのにセリくんのが強い…
ササキのコトで他のみんなもそうなのかなって思ったりしてイヤな気分になりながらも私は国の中心を目指す
私がなんとかすればいいんだから…
でも、私は自分が尊敬する相手を間違ってるのかなとも思えてきた
義賊の宝を横取りするような悪人だよ彼女は
それはいけないコト悪いコト
……私が貴女を尊敬する部分は、善悪関係なしで見て
統率力とカリスマ性と優しさに惹かれたんだった…

なんとか王様のいるお城の門まで着いた私
「おい貴様勇者だな」
「あっそうです!王様に会わせてください
聞きたいコトがあ………っ」
「よし捕まえた」
あれ…?何故か捕まりましたケド……
門番に捕縛されて身動きが取れなくなった状態になってからセリくんがハッとする
(やべぇ…言い忘れてたケド、今の俺は勇者でも大罪人疑惑になってるらしいから捕まるぞ)
何!?早く言ってよ!?
(言おうとしたのにセリカは走り出すし、途中で会ったササキのせいでスッカリコロッと忘れちまったんだよな~)
だよな~って捕まってるのに何か呑気だよね!?
ってか何で大罪人?
(俺が魔族を仲間にしてるって話は結構広まってるんだ
それを確かめるタメに俺を捕まえたんだろ)
いやいやその話が広まってるならどうして隣の姫を任してくるのかな…
そんな私達疑われてるのに姫を預けるって危ないよね
(隣の国の方が強ぇからな
逆らえないんだろ、この国のヘタレ王は…
そのくせ自分より弱い奴には超偉そうでムカつくじじいなんだよ)
そうなんだ…どんなじじいなんだろ…恐そう
(まぁ安心しな)
捕まってるのに変に冷静なセリくんの影響で、本当なら恐いハズなのに私は平気だった

薄暗く少し息苦しい地下牢に閉じ込められてしまった私
王様に会えるコトは会えるみたいだケド…たぶん疑われてるなら「魔族の仲間なのか!?」って聞かれるんだろうな
なんて答えたらいいんだろ
ウソついて「違います」かな?そのほうがいい?
(ん~どっちでも)
真剣にこれからのコトを予想して悩んでるのにセリくんなんか投げやり!
もう…どっからそんな安心感が来てるのよ
「もう……ハッ!?」
「ぎぃやーーーーーー!!!!!!!」
私が捕まって5分もしないうちに見張りだと思われる兵士が悲鳴をあげるから何事!?ってビックリする
閉じ込められた頑丈な光も漏らさないドアからは外の様子は伺えないから何が起きたのか…
心臓だけがバクバクする
「ねぇセリくん何か外ヤバくない!?」
(平気平気、いつものコトだから)
いつものコトって何!?
外から聞こえる何人かの死ぬほど恐ろしいコトがあったかのような悲鳴が聞こえると不安にもなる…
騒がしかったのがシーンと静まり返って何も聞こえなくなると、急にもたれ掛かっていたドアが開いた
「ひゃ~!」
そんなドアが開くなんて思ってなかったから!倒れそうになった私の腕を掴んで支えてくれたのは香月さんだった
「香月さんだ~ッ!?」
もしかして助けに来てくれたの!?
と思いたいケド、超展開で実は私を殺しに来たとか…
(恐いだろ)
「いつもと違って元気そうで…少し驚きました」
助けにきてくれた香月さんを見るとホッとした私は自然と笑顔になる
そっか、セリくんはいつもピンチになったら香月さんが助けてくれるってコトわかってたから不安なんてなかったんだね
「レイから貴方がここにいる聞きました
危険だと自身もわかっていた事でしょう
何故このような所に…」
レイから?レイは助けに来てくれないんだ…
(レイは俺の言ったコトを優先するから、セリカがミソラさんを頼むって言ったならそれを守ってるハズだよ)
そうなんだ…レイ良い子
最近私冷たくしちゃってるケド…
「ミソラさんのコトで話しがしたくて何も考えずに来て……ゴメンなさい
助けてくれてありがとう香月…」
(……ふん…)
なんでそんなふんするの…
ふんってするクセに心では香月さんが助けに来てくれて嬉しそうだよねセリくん
「当然です
人が集まります…行きましょう」
「うん!」
香月さんに手を引かれて地下牢から出ようとすると目の前に突然イングヴェィが現れた
走っていた足がハッと立ち止まる
「セリカちゃん…助けに来たよ……
なのに…香月くんの方が早かったんだね……」
「イングヴェィ!
うん、香月さんが助けてくれて……ぁっ?」
いつも明るい笑顔のイングヴェィが今はとてつもなく冷たい表情をして、私の腕を掴んで香月さんから引き離した
えっ何か怒ってる…?
「香月くん…セリカちゃんのコトは俺が守るから余計なコトしないで
君に助けてもらわなくても俺が助けるんだからね」
「貴方が先に助けに来ていたなら何も言いませんが、少しでも遅れて何かあれば…」
はわわわ…なんだか険悪な空気に……これってもしかして……
「何かあっても俺ならなんとかできるから余計なお世話だよ!」
「私のタメに争わないで~!2人が私を好きなのは十分わかったから~!」
(何言ってんの!?)
えっ?一生に一度は言ってみたい台詞の状況になったから
(意味わかんねぇし!?この恐ろしい空気の中でよくボケられるな!?)
「イングヴェィ落ち着いて、香月さんのコトはカッコイイって思うケド
私が好きなのはイングヴェィだけだから、だからイングヴェィが香月さんより遅れても助けに来てくれたの嬉しかったよ」
「セリカちゃん…」
私が言うとイングヴェィは少し安心したように表情を緩めていつものように笑ってくれる
(スゲーなセリカ…イングヴェィを一瞬で元に戻すなんてオマエ以外できないぞ
イングヴェィめちゃくちゃ変わったしな…)
「セリカ…」
「ひゃー!香月さんに呼び捨てにされたらときめいた!」
(おい!!?一瞬でイングヴェィの機嫌が悪くなったぞ!尻軽め!)
私は一途よ!
(信じらんねぇ…)
本当だってば
……セリくんだって女の子なら誰にだって優しいクセに…
(そ、そんなコトは…あるか……
でも!恋愛感情持ってないから優しくしてもいいだろ!)
私もそんな感じ、一緒よ
さてと…あんまりふざけててもこういう冗談はイングヴェィには通じないからやめよう
「もうセリカちゃんに近付いたら許さない…」
別に香月さんは私を取って喰ったりしないと思うのにイングヴェィは私を守るように目の前に立つ
「私が守るのはセリだけ…彼女の事を横取りしたりはしません
貴方と殺し合いたくありませんしね」
「ふ~ん、それなら全然いいよ
俺も香月くんとは殺し合うなんて自殺行為したくないもんね」
私には関わらないと言った香月さんの言葉を聞いて冷たい目を向けていたイングヴェィはまたパッと明るく笑った
「なんか知らないケド解決だね
みんな仲良しが1番!よかったよかった」
険悪な空気が柔らかくなってホッとしたケド…なんだろ…何か頭に引っ掛かってるような……
(俺もさっきから、あれ?って思うんだよな……)
数秒考えるとあっと気付いた!
(香月…俺とセリカのコトに気付いてる?)
気付いたのは同時でも私が口にする前にセリくんが言う
そう!それそれそれそれ!!
「当然です
私が貴方の変化に気付かないとでも思ったのですか」
えー私は完璧にセリくんを演じてたのに、なんでバレた!?
(ドコがだよ!?
そんな…香月がわかってたなんて……)
「最初から、可愛い娘が一緒にいるなと見ていました」
可愛いだなんて、キャッ
(お世辞お世辞)
何よー!
(セリカが褒められると自分も褒められた気になるから何か変な感じが…)
「何故、貴方が私を避けているのかはわかりませんが…」
(………俺の声も聞こえてるのか)
私もセリくんが香月さんを避ける理由が知りたい…
でも話してくれないよ
こうして香月さんがやっと直接聞いてくれてもセリくんは黙ったままで
「…イングヴェィさん、2人の事を頼みます」
何も答えてくれないと思った香月さんはそう言って先に行ってしまわれた
(あっ…香月……嫌いになったかな…)
自分からプイしてるのに相手にプイされたら強く不安になるセリくんの感情が私に伝わってくる
嫌いにはなってないと思うよ
香月さんだって寂しそうにしてたよ
さっきのは私でも見てたらわかる
香月さんがずっと元気ないのってセリくんに避けられてるからじゃないの?
友達セリくんしかいないんでしょ!?
「魔王だから仲間はたくさんいても、香月くんの友達はセリくんだけだからね
嫌いにはなってないと思うよ
香月くんが人間のセリくんを嫌いになったら…この世の終わりでしょ?」
超一大事なコトをサラッと笑顔で言えるイングヴェィって本当…スゴイよね……
でも激しく賛同するわ…
セリくん!何があったか知らないケド、いつまでも拗ねてないでさっさと仲直りしなさいよ!
世界の一大事なんだから!
(世界の…)


-続く-2011/11/29
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